今塾 by 今宿博史 - 営業戦略おもてなしショップ - IMAJUKU by IMASHUKU Hiroshi
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日本繊維新聞(ニッセン)投稿集

1. 2008.06.11
「天候のせいではない 未曾有の5月商戦を見る」
 昨年の9月以降、あまりにも不気味な売上不振が続いている。この5月など、最悪の状況であったようだ。そのためか、また過去からのプロ意識が強すぎるせいか、多くの小売店は、先へ先へとマイナスイメージが波及して今にもアパレルのすべてがダメになってしまいそうな錯覚に苛まれているのではないか、と危惧している。
 確かに、気温の乱高下がこの5月は激しかった。経験則から言うと、5月に盛夏並みの3日が必要だったのだ。でも、気温を相手にしても逸した勝機は戻らない。厳粛に受け止め、この後の盛夏対策をどうするかがポイントとなる。決してセールを急いではなるまい。
 大切なことは、単なるプロの勘だけではなく、裏付けとなるデータを5月の商況からしっかり読み取ることだ。悪かったといっても、それは大半が相対的な数字ではなかったか。前年対比であったり、計画比であったりでは、結局嘆くだけに終わってしまう。これでは事態は好転しない。

データから情報へ、ルールづくりへ
 「既存店総崩れ」の声がある中で、目標を達成した店は必ず存在する。
 なぜなのか、を適切に分析しなければならない。また、同じチェーン店の中でも、必ずバラつきがあるはずだ。全体が割れたから「ダメだった」ことにはならない。たとえチェーン全店が「前年割れ」でも、そこに店ごとの程度の差が生じているはずだ。その理由を知ることが情報なのだ。
 そこにある「バラつき」「格差」が何によって生じたのか、この分析が大事なのだ。各店ごとの実績を緻密に分解し、問題がどこにあったのかを知ることだ。そこに存在したであろう法則性を見抜くまで、粘り強くこだわる勇気が必要なのだ。この5月の結果から生み出した新しいルール・法則が、次月以降に活かされていくことになる。
 単純に店長の責任、スタッフのモチベーションに帰してはならない。
 今はどの店にも、溢れんばかりのデータが収集されている。問題は、このデータを明確な目的を持って、必要なものだけを迅速に取り出せる体制にしておかないといけない。どの資料も必要だ、欲しい、では次月以降の対策に間に合わない。
 スタッフを巻き込み、徹底し、お客さんに必要な商品をしっかり伝達しなければお客さんを引き止めることができない。
 逃がした勝機は戻らないが、失敗から学ぶことはできる。未曾有の5月は、決して天候のせいではない。
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