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日本繊維新聞(ニッセン)投稿集
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29. 2010.10
「中国は『悪しき隣人でも隣人』なのか」 |
尖閣列島問題は、日本政府の一大チョンボ以外のなにものでもない。政府の外交力、その政治主導と本来の外務官僚とのコミュニケーションの拙さから出た事件だ。
民主党枝野幹事長代理は、選出地元の講演で「中国との戦略的互恵関係なんてありえない。あしき隣人でも隣人は隣人だが、日本と政治体制から何から違っている」と中国を強く批判したと報道された(朝日新聞10/3日朝刊)。
同紙によれば、枝野氏「中国に進出している企業、中国からの輸出に依存する企業はリスクを含めて自己責任でやってもらわないと困る」と発言、さらに「中国は法治主義の通らない国だ。そういう国と経済的パートナーシップを組む企業は、よほどのお人よしだ」と切って捨てた。
残念ながら「事業仕分け」のエースも、こと経済については徹底したオンチの模様だ。民主党の批判をするつもりはないが、この程度の対中国認識で事業仕分けをやってもらっても国民は大迷惑、まして、日本国内で着用する90%以上の繊維製品は輸入品が占める。その主力生産地を「悪しき隣人」と極め付けられて愉快であるわけにはいかない。
経済のメカニズムについての知識が決定的に不足している。
業績急降下の小売企業、アパレル企業群
例のリーマン・ショック以来、中小小売店、アパレル企業の業績低下傾向はさらにその速度を速めている。
加えて今夏は猛暑に見舞われ、また中国を中心に海外生産での納期遅れが続出、早めに展開した晩夏・初秋物も店頭の動きはサッパリ。6月以降、月を追うごとに各社の店頭実績の前年割れは目を覆うばかりの状況となっている。このままの推移で年末を迎えるようであれば、かなりの数の中小企業がダメージを受けることになる恐れが多分にある。
遅まきながら、政府の2010年度補正予算案が8日に発表され、中小企業対策として年末の資金繰りに支障が生じないように5600億円が計上されている。とはいえ、前年までに緊急融資を受けた企業も多く、果たして今回の対策費が活用できる環境にあるかどうかは、疑問と言わざるを得ない。
企業が重視するのは政策のスピード感だ。8日の新成長戦略実現会議では、同戦略に盛り込み済みの「21の国家戦略プロジェクト」について、年内に実現までの具体的な方向を示すよう菅首相が指示したと言う。
ここは、菅首相自身がデフレ脱却、景気回復という経済政策の二大目標達成に向けてスピードアップすべきではないか。枝野氏同様の、経済情勢に疎いアマチュアでは国民が迷惑する。 |
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