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宿屋四郎兵衛
「辛口ワンポイント」
(2003.9.1〜2005.4.20)
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No. 5 |
10月商戦
9月の惨憺たる結果を受け、心配された10月ではあったが、百貨店や大型GMSの数字は順調のようだ。中でも、衣料は気温の低下に連れコート、ジャケットなどが動き、久々に店頭は活気づいている。都心の百貨店は、「江戸開府400年」のイベントもあり、これから客足は益々、増え続けるものと期待されている。
こんな時、店頭に立つ販売員の顔は当然、明るいが、半面経営者や商品本部は緊迫し切った表情を見せている。好調な売れ行きの中ではっきり「ブランド」や「単品」毎の動きに今まで以上の“格差”が出ているのだ。単品レベルでの売れ筋・死に筋、更に競合ブランドの数字確認・分析の結果に動揺を隠せない責任者も多いようだ。この数字をどう読むか、差を詰めるため、品揃えやSP計画の手直しをどのように実行していくのか、まさに必死の作業が続けられているのだ。ここでの仕事の“精度”は今期だけのことではなく、今後のビジネスの可能性に大きく影響するのだ。11月、12月の結果、大差となる恐れも否定出来ない。
「不況ではない」
一般には、「空白の10年」を経て、なお“不況”が続いていると言われている。はっきり言ってこの認識はおかしいのだ。「景気が回復すれば売れるようになる」?というのは気休め、自分に対する言い訳に過ぎないことは、案外、言っている本人が一番感じているはずなのだ。
今は、販売員の努力や陳列の改善、更に広告宣伝を増やすことだけでお客を呼び込むことは出来ない。「売れない」「お客が来てくれない」ホントの理由は扱っている売り場の商品と「お客様が、欲しいと思い、探している商品」との間に大きなズレがあるのが原因なのだ。
わざわざ遠方より仕入れに来られる、それは、「あの店に行けば、絶対にこういった商品があるはず」との期待感があるからなのだ。何が欲しいのか、判らないお客さんも、当たり前に一杯いる、悩みに悩み、店をブラブラ歩き廻り、「これだ!」と閃く瞬間に“商人”であることの醍醐味を感じ、「やはり、この店だ」となるのだ。これほど強力な宣伝手段はないのである。「商品」で勝負することこそ“お客様”を呼び戻す最良の手であることを認識すべきだ。
52週の“一店逸品”を
店は、会社の経営理念・経営方針の具現化されたもの、この「個性」そのものを簡単に変えるわけにはいくまい。しかし、客数の減少は目に見えたもの、否定のしようもない。
そこで、まず、客数の減少の中身を徹底的に分析してみよう、これが第一である。嫌でもやらねばならない。これがないと客観的な次の手が打てまい。
経営者、あるいは仕入れ担当者は、品揃えの不備に気付き、お客様のためにも必死の努力を重ねるべきではないか。
第二は、52週に亘り毎週「この店の逸品・一品」を店頭に高々と展示することである。今こそ、“行動を起こす”勇気を持つべき時である。
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東京問屋連盟:問屋連盟通信:2003/11/1掲載 |
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