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宿屋四郎兵衛
「辛口ワンポイント」
(2003.9.1〜2005.4.20)
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No. 7 |
業界再編は必至
百貨店業界の雄として、「トリプルそごう」を豪語したそごうグループが崩壊し、流通で規模を競う時代は終焉した。GMSとて例外ではなく、既に、マイカルはイオンの傘下で再生中であり、ダイエーは、今なお予断を許さぬ状況下にある。
イオンの岡田社長は、「今後、消費の二極化は一層進み、流通の再編統合は避けられまい」と新聞紙上でコメントされている。あらゆる業界で、メーカーから商社・卸へと再編が進み、この流れは小売りの再編に繋がっていくはず、と言う。規模拡大に余念がないイオングループは、それでも「グローバル10」の旗印の下、2010年に7兆円の売上達成は可能としている。
鍵を握る衣料品の立て直しは、SPAを範として「グローカル(グローバルとローカルを合わせた造語)とSCMが課題と言う。
ヨーカドーの苦戦
流通の超優良企業ヨーカドーの業績に暗雲が立ち込めている。2003年2月期の売上高は、約1兆5千億円と93年2月期との比較では、売上高の増は90億円でしかなく、一方、営業利益は、実に5百億円近くの減少を余儀なくされている。人件費、販促費それに加えて店舗費が利益を大きく圧迫し、「仕入値」引き下げなどの粗利拡大効果を減殺した結果だ。この期間、売場面積は1・5倍に増えている。
「基本の徹底と変化への対応」を標榜するヨーカドー流“業革”にも翳りが見え始めている。
躍進の“しまむら”
それに較べて、衣料スーパー“しまむら”の伸びは著しい。同期間に売上高は、8・9百億円から2千5・8百億円と2・9倍に拡大し、営業利益は3・7倍増の1・9百億円を確保した。
この業績に現われたヨーカドーとの違いはどこにあったのだろうか。GMSという圧倒的な業態そのものの魅力が、今や失われつつあるのかも知れない。
小商圏対応の時代
百貨店という都心型巨大店の時代からGMSという郊外型巨大店の時代を経て、小売業界にも新しい潮流が生まれつつあるようだ。衣料品業界のSPA(製造小売業)やセレクト・ショップと言われるような新しいビジネスが、情報化の進展の下、多くの消費者の支持を得ていることにも注目しなければなるまい。
「消費者は、(1)家から近い (2)あまり歩き回らなくて済む小さめの売場 (3)魅力的な商品がわかりやすく陳列されている ー 店を求めている」(日経MJ紙)“しまむら”でさえ、売場が大きくなると坪効率は悪化するという。
本当の意味で「小売店」の時代が来る予感がする。消費者の見える、無駄のない、地道で魅力的な商品を提案することの出来る小売店の時代である。 |
東京問屋連盟:問屋連盟通信:2003/12/1掲載 |
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