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宿屋四郎兵衛
「辛口ワンポイント」
(2003.9.1〜2005.4.20)
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No. 21 |
“インターナショナル・ファッション・フェア”(IFF)に行こう
(7月21日〜23日・東京ビッグサイトにて)
この項が出る頃には、IFFは終了している筈であるが、問屋街の皆さん、ご覧になりましたか。次回は、17年1月に開催されることになっており、「見に行く」ということだけでなく、むしろ、積極的に出展してはどうでしょう。
衣料品に限らず、多くの商品調達が海を越えたワールドワイドになり、ボーダレス現象が常態になってきている現在、今までのように“ただ安い”というだけのコスト・メリットでは納まらなくなりつつある。着実に何かが変化している。その変化の波を常に追い続けられない会社に、新しい可能性は生まれてこないのである。
問屋街は、常に時代をリードする存在でありたいと思う。中小小売店の業績を支え、小売店に繋がる“顔”のあるお客さんのためにも問屋は必死で、小売店の品揃えに貢献しなければならないのである。仕入力を高め、小売店に喜ばれること無しに問屋街が存立し得る訳はない。大規模店のマーチャンダイザーやコンビニのチエーン店MDの涙ぐましい商品開発物語や、売れ筋商品探しは、単なるテレビドラマの域に止まらない。問屋街こそ、これに倍する努力が望まれるのである。
国内外の先端商品、売れ筋商品、あるいは今後、台風の目となるかも知れない商品の数々が一堂に会する「IFF」、これを利用しない手はない、のである。どのように活用するべきか、大いに論じる必要があろう。
IFFは、世界の舞台へ!
IFFは、今年の1月展(第9回)までは、繊研新聞社単独の主催であったが、この7月展より、主催が「日本ファッション協会」に替わり、企画・運営が繊研新聞となった。舞台は、大きく広がった。
国内から413社、海外は、21カ国・地域から109社の合計523社が出展した。国内の分野別内訳はファッショングッズ202社、カジュアルウエア84社、レディスウエア75社等であった。また、3回目を迎える“発信型OEM(相手先ブランドによる生産)展示会、fプロデュース”は、67社が参加した。国内からは47社・団体、海外から19社が内訳である。テキスタイルメーカー、染色整理、縫製・ニッターなどの製造業、商社や服地コンバーター、企画会社までの参加であった。特に、ファッショングッズや雑貨、服飾資材の提案もあった。
OEM業態は、今、最も注目されているところだけに、出展各社の力の入れ方も並々でない感じが横溢していた。発信型を標榜することもあって、素材開発や差別化加工など製造技術、素材から製品までの組み立て手法、企画デザインや支援システムなどのソフト面など、今後の問屋街にとっても活用すべきヒントが、実に多いとの印象であった。
小売店から支持される“問屋街”として、どんな商品を充実するべきか、何が不足しているのか、等をチェックし、品揃え・品質レベルを高めていくにはIFFは、格好の展示会と言える。
“若さ”溢れる熱気!
注目の新進クリエーターの集積ゾーン「クリエーターズビレッジ」には、30社が出展。益々、狭き門になっている、と主催者側は言う。しかし、決してこのCVに若者が集まるせいではなく、会場全体を覆う若さ溢れる熱気に注目したい。
ファッッション全体の閉塞感、国内流通企業群の業績不振、製造部門の海外流出に伴う産地の衰退、商店街の衰微、小売企業・卸企業の売上不振、企業数減少など、挙げ出したら限のない「マイナス」の時代であることは周知の事実。
しかし、IFFの会場全体を包み込む熱気はどうだ!勿論、キャリア豊かなバイヤー、業者の顔も目立つ。しかし、とに角、若い。ケイタイを掴み、真剣に商談する顔、顔、次々と指示を出している眼差しからは、日頃の「苦悩する業界の顔」を窺うことは出来ない。恐らくこのファッション業界も“新世紀”に入り始めているのではないか。
問屋街とて例外ではありえない。卸業態の存在、業態の持つ機能そのものを、今や疑う人はいまい。今、もっとも必要なのは、この“熱気”ではないか。小売店とて義理で業績の上げられる時代ではありないのである。
新しい時代は、明らかに胎動を始め、そして従来の枠組みをすべて壊そうとしているかに見える。そんな実感を得たIFFであった。 |
東京問屋連盟:問屋連盟通信:2004/8/1掲載 |
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