今塾 by 今宿博史 - 営業戦略おもてなしショップ - IMAJUKU by IMASHUKU Hiroshi
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宿屋四郎兵衛
「辛口ワンポイント」
(2003.9.1〜2005.4.20)

No. 24
景気は下り坂?
自然の猛威に翻弄された今夏。猛暑・台風・浅間山噴火、そして関西中心に予想されなかった原因による地震の頻発。この自然の怒りは全世界に及ぶという。インド、バングラディシュの水害、ドイツではこの時期の大雪、カリブ海からフロリダを襲う“ハリケーン”の恐ろしさは筆舌に尽くし難い。
まして、イスラエルによるアラファトへの無差別攻撃、泥沼化するイラク、止まるところを知らないチェチェンの対露テロ攻撃などの“文明の衝突”が、拡散する国際テロ活動を一層活発化させ、その不透明な恐怖に加えて、アメリカ化するプーチンの国際政治への威圧行動が世界の動きに、益々、重苦しさを増してきているのが現状だ。
日本経済に大きな影響力を持つアメリカ経済に6,7月頃から減速の兆しが表れてきた。9月に入って、米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン議長は“「腰折れ」懸念は当面避けられる”、と証言したものの個人消費の伸びに、かっての勢いが無くなっていることも事実だ。11月の大統領選挙を控え、今年後半は3〜4%程度の成長は可能、というものの年明け以降は不透明、というのが市場関係者の一般的な見方ではある。
懸念材料は2点。まず、国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費の弱さだ。個人消費支出は6月以降暗雲がかかっている。
そして、原油価格の高騰だ。8月平均価格は44・90?、当面高止まりが続くものと見られている。国際政治情勢で左右される価格体系だけに、産油国を巡る政治バランスの変化で、今後何が起こっても不思議ではない。
日本にとって米経済の減速は大きな不安材料である。

4〜6月GDP年率換算伸び率1・7%プラス
03年10〜12月7・4%、1〜3月6・6%、と景気回復を印象付ける伸びが続いてきただけに、この4〜6月の数字に愕然としたエコノミストは多かった。政府の「景気回復の基調は不変」との判断にも拘らず、景気の行方に一抹の不安感が広がり始めた。「2次速報では上方修正になる」と予想した民間機関も、さらなる下方修正が発表されて、俄かに不安感が増してきた。
減速となった理由の1つは、「設備投資」の横ばいである。ただ、鉄鋼を中心に素材関連や半導体企業の投資意欲は強く、また、小売業の新規出店計画も旺盛であり、7〜9月には上向く可能性は高い。問題はそれ以降ではないか。
減速理由の2つ目は、「個人消費」にある。元々、これまでの消費増は、家計全体の消費増の裏づけがあった訳では無く、まさに「マインド(心理)先行」型。“猛暑”“五輪の前景気”が、大いに消費を盛り上げてきただけに、7〜9月期以降、マインド先行の反動による落ち込みが懸念材料となろう。
厚生労働省の毎月勤労統計調査を見る限り、所得環境に改善はなく、「現金給与総額」は、7月で3ヵ月連続の減少となっている。パート社員等の拡大があるとは言え、一般労働者のそれは、なんと80ヵ月連続の減少である。それだけに年初の個人消費増は、心理面での影響が大きかったのである。
確かに7〜8月、コンビニエンスストアなど猛暑効果で売上げを高めた業界もあるが、百貨店やGMSなど衣料を中心とする大型店の前年割れは、依然続いている。8月は、“五輪効果”もマイナスに作用して、人出が減り、売上げに影響した模様である。

企業の優劣は、景気の波に左右されない!
 日本経済は02年1月に底入れし、8月まで31ヵ月の回復期間となった。戦後の好景気の平均期間は33ヵ月であり、そろそろ「下り坂」との警戒感も強まっている。
 今夏の“猛暑商戦”は、企業経営に多くの教訓を残した。もはや、会社の業績を業種・業態や、更には世の中一般の景気動向から論ずべき時代では無くなっているのだ。勿論、無視は出来ない。しかし、企業にとって重要なことは、「上り坂・下り坂」を見極めること、そして、その“流れ”に乗るだけの力を自社が持っているかどうか、更に、“流れ”そのものをどう活用し切れるかという1点に尽きる。
 同じ好調といわれた業種でも、2ケタ減のショップもあれば、2ケタ増の店もある。不振の典型のように言われる百貨店でもその業績は一言では言い表せない。同じ企業の中でも、その内容たるや店によって様々である。改装・リニューアルの決断に加え、ショップを預かる店長や部長の力量によって大きく差が生じるのである。
1日1日の積み重ねを疎かにせず、常時、店に立ち、お客さんの動き・変化をよく見て手が打てる。お客さんとのコミュニケーションが日課である。お客さんのことをよく知っている。お客さんと一緒に考えることが出来る、ことを大切のして欲しい。
 早くも、景気は下り坂に向かうと思われる。或いは、今は上り坂の途中、踊り場に過ぎないのかも知れない。しかし、小売業にとっての“打つ手”は、目の前のお客さん以外にない。
東京問屋連盟:問屋連盟通信:2004/9/20掲載
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