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宿屋四郎兵衛
「辛口ワンポイント」
(2003.9.1〜2005.4.20)
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No. 28 |
“生活習慣病”の怖さ
金子教授の、まさに名言。“生活習慣病”とは、誰にでも理解でき、それでいて笑うことしかできない現実、その恐ろしさは判っているんだけれど、今はこうして笑っていられる。教授は「糖尿病」に例えておられた。大病なのは判っている、でも目先、勢いに任せて饅頭を食らい、酒を飲む。まだ大丈夫、何とかなる、はずだ。
リスクが実感できないのが“生活習慣病”の特徴であり、それだけに実感できた時は、もう手遅れである。
日本を取り巻く環境、事態は確実に進行している、と教授は分析する。バブル以降すっかり日本経済全体が変わってしまったのだと。多分このことには聞いている人の多数が同調したであろう。
今までの経済学で言うところの設備投資を軸とした「循環型景気サイクル」での予測ができなくなってしまった。なぜなら世界中を実体経済と遊離した大量の“マネー”が徘徊する時代になっているからでもある。
いつ何処で何が起こるかの予測はほとんど判らない不気味さの中にいることは確かなのだ。昨日までは不安ではあったが、何事もなかった、まあもう暫く大丈夫だろう。何とかなるさ!まさにこの考えは“生活習慣病”そのものではないか。
中国のバブル
一方明確な事実、それは中国の存在だ。教授は2つのバブルとして
(1) 中国のバブル
(2) 住宅バブル
を指摘された。後者は、日本、ドイツ以外の各国で猛威を振るっているというがこのことはさておき、われわれにとっての関心事は中国。すでにこの問屋街を直撃し、日本の消費財市場を根底から変えてしまった元凶のひとつだ。
この中国が大変なバブルに見舞われているのだ。このバブルの中で、中国経済が、果たして08年の「北京オリンピック」、10年の「上海万博」までハジケルことなく持続し得るのか、との危惧である。輸入だけではない、近年日本からの輸出が急増している事実(日本の輸出額全体の23.9%が03年度の構成比)もある。
教授は、「救いは中国の指導者が、中国経済は“バブルである“ことを認めている」点だ、と言う。”原油高・ドル安“の脅威とともに、中国経済がソフトランディングに成功するかどうかで日本の運命が決まると言っても過言ではないのかも知れない。
07〜08年が日本の曲がり角となる
教授は大きな理由として以下の2点を挙げられた、
(1)多額に発行されている国債の償還期を迎えること。この時、日本の金利がどうなっているのか大きな問題だ。また多額の米国債の問題も抱えている。
(2)人口減少の時代に入るという、日本の歴史上未曾有の事態である。
「高齢者時代」への突入、団塊世代5百万人のリタイア、そしてフリーター450万人の存在である。
日本は“亀裂と分裂の時代”を迎える。
日本の社会構造の特徴であった中間層が削ぎ落とされることになり、高額所得層と低額層との極端な二極化時代の到来になるという。
明らかに時代の節目にいることは事実だ。これに立ち向かう方法として、教授のヒントは「小さく生んで大きく育てる」「街全体が、そして業態全体が生き残ることを考えよ」であった。 |
東京問屋連盟:問屋連盟通信:2004/11/20掲載 |
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