今塾 by 今宿博史 - 営業戦略おもてなしショップ - IMAJUKU by IMASHUKU Hiroshi
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日本繊維新聞(ニッセン)投稿集

5. 2008.10.14
「1週の”負け”は取り戻せず 外部ではなく内部の対応」
 もはや旧聞に属するが去る8月21日(木)、猛暑をついて相模の国のショップを見て回った。そろそろ晩夏(初秋)モノの展開の時期でもあり、同時に夏物最終セールの状況も気になっていた。昼前後の時間帯で客入りも今一つ、売場が荒れている割には店員の動きにキレがない。
 まだ、猛暑が数日は続きそうだけに今の内にしっかり仕掛けてほしいものだ。のんびり客待ちの時期ではない。
 駅ビル、GMS等7か所を駆け巡り、後3か所は時間的にも余裕ありと休憩を入れた頃から天候が急変、激しい雷光に続いて“バケツをひっくり返した”豪雨、車での移動であったが暗くもなるし、運転の息子も「オヤジ、諦めろ」の一言。「これはエライこっちゃ」との厭な予感、でもまさか。その「まさか」が的中、翌日には気温が急降下してしまった。
 夏物最終処分の終りを告げる雷光であった。この夜を境にして、商品展開力の差が各社の決算に如実に表われる。翌日には初秋物がフルライン展開できたショップ、1週間以上品揃えに日時を要したショップ、「モノが売れる」とは、こういうことを言うのだ。

「適時・適所・適量」の時代
 年間には、残念ながら52週しか存在しない。しかも「落とした」1週の負けを取り戻す機会はまずあり得ない。負けは負けのまま次週の戦いに挑むことになる。泣き言は言っていられない。ただ、「負け」の事実そのものは明確にその理由が会社に記録されねばならないのだ。大本営発表のようにはいかない。
 「売れるモノづくり」などと御託を並べる前に、改めて「五適」の意味を考える時が来ている。もちろん、素材の特殊性や染めの技術が映える新素材、海外には不可能な縫製の技術もまだまだ日本には存在する。どのシーズンにも売れ筋と言われる商品が彗星のごとく現れていることも否定しない。しかし、デザイナーの技量だけで、あるいはMDの閃きだけでビジネスが成り立っているのか。
 売れる商品に差が無くなり、また商品の価格は圧倒的に「安く」なった。なぜなら、現在の顧客の求める商品には、「個」ではなく「組み合わせ」が必要だからだ。「適所」が消費に果たす役割も「適品」を超えている。銀座に出現した外資ショップと、越谷に忽然と現れた郊外型日本一の広さを有するSC。果たして顧客は、どちらに商品の価値を見出すのか。
 「適量」を超える新しいアパレルの課題に答えなければならない。
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