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日本繊維新聞(ニッセン)投稿集
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6. 2008.11.14
「商売は『リズミカル』に J・ニクラウスのアドバイス」 |
20世紀最強のゴルファーと称されたジャック・ニクラウスさんとは、仕事の関係で何度かお目に掛かった。青木功プロとの戸塚カントリーでのマッチプレー(パター盗難事件で有名)にも、18ホール付いて歩きながら「ゴルフ」について通訳付きの話に唸らされることが多かった。
「ゴルフにうまくなる秘訣は」なんて愚問にも気軽に応じてくれた。印象的であったのは、「ゴルフは、コンスタントに同じ歩幅で、リラックスして安定的に歩けばいいよ」との一言であった。右や左に飛び交い、コース上を遅れないよう走りまわる自分のゴルフには、遂にニクラウスさんの助言も役に立つことはなかったが、このことは商売にとっても役立つ、重要なアドバイスであったと信じている。
アパレルビジネスの要諦が「販売機会ロス」「売残り在庫ロス」とあって、ついつい焦りが顔に表われる。今や、52週MD時代でもあり、一時の猶予も許されなくなってしまった。経営者の顔も緩むことがない。相変わらずの「前比・予算比」との差異がお会いするトップの顔に滲む。加えて、このところ海外の強力な専門店群の日本上陸が華々しい。が、何も目くじらを立てることもあるまい。「リズミカルに」自店の良さを活かしてしていければいいのではないかとアドバイスしている。
商売は「笑売」、そして「塩梅」なんだ
古い手帳を整理していたら、こんな言葉が記されていた。“笑売”とは「商売の売りと笑いを掛けた」ものながら、商(あきない)の本質をついている。元々商売は楽しく明るく、庶民の生活を豊かにするためにあったのだ。お客様の笑顔を受け続ける目的が、“商売の塩梅”そのものだ。金儲けが目的のすべてではあるまい。“身だしなみには躾や「笑顔、清潔、良い返事」、「親切、丁寧、綺麗な言葉」”、どれもリズミカルそのもの。「目配り、気配り、心配り」など何とも心憎いリズミカルさではないか。
卸や小売りに携わるトップの皆さん、自社の力を冷静に見つめて、安定的、かつコンスタントに「貸し渋り」だの「貸し剥がし」だの物騒な金融怪物の化け物どもに惑わされず、もっとも頼りとなる社員を大切に、リズミカルに事業を推進していって欲しい。
尊敬する総合衣料チェーン店の社長さんの持論は、時代の変化や消費者の高齢化などは当たり前、あたふたすることなく地域に合った商品を常にコマメに品揃えすること、これが小売店の使命だよ。いろんなタイプの店があってこそ、消費者の満足が得られる時代なのだ。 |
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