今塾 by 今宿博史 - 営業戦略おもてなしショップ - IMAJUKU by IMASHUKU Hiroshi
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日本繊維新聞(ニッセン)投稿集

12. 2009.05.15
「トップの現場指導がやる気をそぐ? 損益分岐点底割れ続く」
 各社の店頭状況を見ると4月の気温が高かったこともあり、一応数字面では下げ止まりになった、との声を聞く。が、果たして実態はどうなのか。どの施設を見て歩いても下げ止まりの事実を裏付けるような感じを受けるショップには残念ながら出くわさない。ただ、新しい夏物を探し求める顧客の姿は例年とは変わらないようだ。
 卸(アパレル)が春物手当をかなり抑えた結果として在庫面での心配も大きくならず、夏物への移行が比較的順調であったことも幸いしたのかも知れない。春物商材の不足は反面では品不足感を呼び、セール商材がもっとあれば何とか昨年を上回る数字が作れたかも、との声もある。全体的に、悲観的にならず強気に出た小売企業にとって4月は予想したより悪くはなかった、という意味であろう。
 そのため、依然として損益分岐点売上高をキープできる企業はマレであり、5月以降に“底割れ”の不安を残している状況に変わりはないのだ。もはや、これ以上の売上減少に耐えられるだけの内部留保もないとなれば、思い切った経営判断を取らざるを得なくなる事態となろう。
 トップによる「現場直視」を改めて考える必要があろう。トップの指導力なくして店頭の改善はなし得ないからだ。

トップの「現場指導」が最大のガン
 店頭数字に我慢ならない経営者・トップは、どうしても現場に出向き、現場での叱咤激励、士気鼓舞こそが「現状打破」に繋がると信じて疑わない。トップ自らの現場第一主義は大いに結構なことではあるが、トップ自身が現場で行う直接指導こそが問題であることにツユ気付かない。その多くが店長以下スタッフのやる気を削ぐこととなり、また本部スタッフに無用の混乱を来すことになっているのだ。結果的に、トップからの指導がショップの売上高を達成できない最大の原因となるケースが多い。
 効率的な仕事を目指す社員にとっての迷惑な時間が、役にも立たない上司との余計なコミュニケーションであり、気まぐれなその場しのぎの指示であることは、経営学のイロハでもある。
 毎日同じショップを訪れることのできない経営者にショップの課題が解決できるわけがない。日々、お客様と接しショップの問題と格闘しているのは、店長でありスタッフだ。経営者はショップが持つ課題を共有し、ショップを支援することに徹するべきなのだ。
 店長と同じ目線でお客様と向き合い、店長と同じ意識を持ち合うことが経営者の現場に対する義務なのだ。
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