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日本繊維新聞(ニッセン)投稿集
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18. 2009.11.12
「“プロダクト・アウト”百貨店たれ! 消費者の期待はそこに」 |
百貨店マーチャンダイジングには多くの批判が集中しており、また百貨店のトップ自身も永年のプライドを無くし、消費者のご機嫌取りに余念がないように見受けられる。マーケット・インに徹することは、消費者に媚を売ることではあるまい。
百貨店としての堂々たるプライドを持って、真剣に消費者に対峙していく気概を求めたい。そのためにも、必要なことは取引先に頼ることなく自らが求める商品にしっかりリスクを張ることだ。俗な表現で失礼だが「買い取りビジネス」の規模を高めていくことだ。そこに人材は育つ。百貨店の弱みはあまりにも消費者に知れ渡ってしまった。言葉は悪いがそこに付け込まれてしまって、ついつい国内外の「アジル・マネジメント」展開企業に後れを取ってしまっているのが現状だ。
すべての消費者がユニクロに満足し、また海外有力SPA企業の軍門に降ったわけでもあるまい。言い古された言葉ではあるが、消費者は「百貨店価格」の持つ商品の品質・質感と「着用する喜び・楽しみ」を捨てたとはとても信じられない。それら消費者の期待に応え続けることこそ、百貨店商品そのものではないのか。それぞれの持つ百貨店の良さを“プロダクト・アウト”していく勇気が求められる。
“寄せ集めMD”から決別せよ!
百貨店の客寄せ商品といえば、今は食品だ。とくに、「デパ地下」の称号を奉られデパートと言えば食品売場、そして上階の催事売場、これも売れるのは地方の名産食品だ。1階の大半を占める化粧品売場も含めて、すべて場所貸し売場だ。
唯一、化粧品売場にはヤング客も頼りにしている。これらのヤング客も、こと衣料品となると上層階へは足を向けない。そこは大手アパレルメーカーのショールームと化しているからだ。今シーズンの商品傾向を見るには便利ではあるが、あまりにも広く、かつ細分化されたゾーン・ブランド数も無限だ。どの商品を買うのかに実に無駄な時間を消費してしまう。「買いたい商品」を見つけても次々現れる商品との比較で迷いが生じ、「もう分からないわ」。
おまけに、まとわりつく販売員とのやり取りにも言葉に表せない疲労を感じてしまう。不思議に「この商品!」と思った時には販売員は反対方向に歩いていく。販売員にとっては、自社ブランドではないのだ。
百貨店は、アパレル商品の販売不振を価格問題にすり替えてはいけない。徹底したコスト削減とは、販売現場から自社社員を引き上げ取引業者の派遣に任せるべきことではない。逆に、ブランド別に派遣されるメーカーからの販売員を極力締め出し、自社社員で売場を運営すべき時だ。 |
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