今塾 by 今宿博史 - 営業戦略おもてなしショップ - IMAJUKU by IMASHUKU Hiroshi
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日本繊維新聞(ニッセン)投稿集

19. 2009.12.07
「ドメインにこだわれ! 百貨店再生の課題」
 百貨店トップに業績不振の一般論的言い訳が多すぎるのではないか。あたかも自社のことではないかのような、他人事のようなコメントには耐えられない。
「百貨店業低迷の根本要因は、マーケット対応力の弱さと高コスト・低収益体質にある。再生の柱として新・百貨店モデルの構築に全力を挙げること」なんて、百貨店トップの言うこととは思えない。B級評論家そのものだ。現状が分かっているなら、どのように自店(自社)を立て直していくのか、その「モデル」を示して欲しい。百貨店の最大の欠陥は、その社会的存在価値を理解し、その使命を果たそうとする意欲に欠けることに尽きる。
例えば、「高コスト体質・低収益体質」を解決する道は、人件費を削減して売場をアパレルメーカーの展示場とすることではあるまい。百貨店は、その存在自体が「高コスト体質」としての宿命を負っている。「売場社員」が百貨店の財産であり、百貨店ならではの高度な人的サービスが「売り」であるからだ。
百貨店は、多くの衣料品専門・小売店、ましてやファストファッション企業ではなし得ない消費者満足を十分に提供しうる「場」を装備しているのだ。一時的な業績不振や株価下落、他業態の躍進に惑わされることなく、まして、ムダな低価格商品の導入から手を引くべきだ。

人的資源のレベル・アップを目指せ
 前回で“寄せ集めMD”からの決別を提言した。同時に“寄せ集め販売員”集団で、百貨店の繁栄はあり得まい。百貨店にとっての最大のサービスは「人(ひと)」にこそある。「人」を経費と考えるような経営姿勢の企業に明日がないことは必然だ。自社で高額所得を得るような高度な販売技術を持つ社員を養成すべきだ。
 海外有名ラグジュアリーブランドの導入を急ぐあまり、日本の百貨店を支えてきた有力な専業商品メーカーの核商品と価格ラインを捨て去ってきた。迷える百貨店の多くが、今また海外のファストファッション企業やSPA企業の店内導入を図ると共に、「消費者ニーズ」の名の下に主力ブランド商品の価格ライン引き下げに懸命になっているかに見える。
 スピードも速く、ファッションの変化も急であるだけに時代の変化に惑わされることなく、百貨店としてのドメインに徹底してこだわって欲しいものだ。
 百貨店は、目先の利益に振り回されてはいけない。じっくりと「人(ひと)」を養うべき時期ではないか。そして、次の次に向けての戦略を策定し、大切な持てる資源を投入されることを念じたい。
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