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宿屋四郎兵衛
「パワフルワンポイント」
(2005.5.20〜2007.6.1)
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No. 9 |
経営相談コーナー開設
“中小企業診断士”
まったくの私事で恐縮だが、中小企業診断士という国家資格のホルダーは、(社)中小企業診断協会に所属している。協会本部は、東京・銀座にあり、支部は、都道府県のすべてに存在する。そのうち東京支部は、中央、城南、城北、城東、城西、三多摩と5つの支会で構成されている。中小企業診断協会は、経営コンサルタントの集団としては全国一の規模といえるだろう。
各支部(支会)が、経営コンサルタント・グループとして、活発に行動していることはいうまでもないが、分けても東京支部には、擁するコンサルタント数も多く、大企業への診断・支援活動を含めて積極的に各方面で活躍している。
一昔前は、経営コンサルタントといえば個別企業の顧問として、どちらかといえば財務諸表を眺め、分析する仕事が中心であったようだが、規制緩和や業務のIT化が進んだ今日、過去の数値をひねくり回しても何も生まれてこない。「先を読み、手を打つ」ためには、ネットワーク化で対応せざるを得ない時代となっている。顧問的仕事がなくなったということではなく、一人で判断し、支援できるほど企業を取り巻く環境は甘くも単純でもなくなった、ということでもある。
拡大する職域・仕事
もちろん、受託する仕事の範囲も広がっていて、社員研修(新入社員・中堅社員・管理職等)、講演・セミナーの実施、商店街支援や企業再生事業など数え上げれば切りが無い。また、多くの診断士がいわゆる転職組(というと語弊はあるが)であって、以前に所属した業種・企業からなんらかの影響を受けているために、仕事は余計に多岐に亘ることとなる。
また、診断士個々の得意分野も極めて多彩なものがあり、結果として、オールマイティの存在よりも、いろんな分野の専門家が“ネットワーク”を組むことで、クライアントからのかなりの難題にも対応できる仕組みを形成していると言えるだろう。
一企業であれ、商店街であれ、NPO等の団体であれ、診断・指導することは容易ではない。文字通り相談内容は「複雑怪奇」の様相を呈しているからである。たとえ、社員研修であっても深い専門知識を持っていないと対応できない。新入社員といえどもそれなりの業界知識、専門知識を有しているからである。
勢い、診断士グループでの勉強会、研究会活動が活発となる。
中小企業診断士試験は、他の国家資格と比較してもかなりの難関として知られているが、むしろ、合格してからの勉強の方が実感として、はるかに大変なのである。
「ファッションビジネス研究会」の発足
診断協会東京支部には、「登録研究会」として31の研究会がある。この4月、新設研究会として承認された「ファッションビジネス研究会」もその一つである。
業種別の研究会が既にいくつか存在する中で、繊維産業というか、さらには繊維に止まらずファッション全体を考える研究会が必要ではないか、との考えからの発足である。メンバーは、小売業やアパレル企業出身の診断士を中心に、「ファッションに興味があるから」というリテール・サポートやマーケティングの専門家を含めて21名でスタート、その後、月例の勉強会毎に増え、現在は、35名になっている。
研究会は、「繊研新聞」の支援が得られたこともあって、新聞との連動を含めて、単なる勉強会ではなく実際面でも“行動する集団”として成果を上げていきたいというのが願いである。幸い(協)東京問屋連盟さんとのつながりもあり、研究会活動の一環として「経営相談・起業創業相談コーナー」への支援は当然として、各種業務面でお役に立てる場面が数多く現出するものと期待している。
当研究会メンバーの多くは、馬喰町・横山町に対する認識も薄く、その存在すら明確でないことも決してまれではない。それだけに、研究会活動を通して当地域の社会的・経済的存在意義を高め、それが東京問屋連盟所属企業の繁栄に役立つことができれば幸いである。
全国規模の診断士ネットワークの活用へ
また、当研究会が活動し、その行動を発信し続けることが、全国全県にまたがる診断協会のネットワークを通じて、全国の小売店・商店街等へのこまめなリテール・サポート、支援活動につながることを期待している。
全国には1.8万人の中小企業診断士がコンサルタントとして活動している。すべてが卸・小売業や商店街支援に従事しているわけではないので安易な期待は禁物ではあるが、連携を図ることで新しい流れが創出できるはずである。
当地域、および連盟を起点としての情報・仕入「ネットワーク」創りが課題であり、同時に所属企業が「当社ならではの商品ポリシー」を明確にすることでなくてはなるまい。
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東京問屋連盟:問屋連盟通信:2005/9/20掲載 |
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