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宿屋四郎兵衛
「パワフルワンポイント」
(2005.5.20〜2007.6.1)
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No. 14 |
新規顧客の獲得を目指せ!
M&Aに走る業界
アパレル業界において事業再編が急ピッチで進行中だ。中堅で製品の良さに特徴を持ち、長年にわたってブランド力を培ってきた企業が、ここにきて力尽きるケースが目立つ。会社を支えてきた「仕組み」そのものが壊れ、もはや自力での再起は望めなくなってきた企業がターゲットだ。
会社そのものがアパレルとは無縁のファンド会社に飲み込まれ、グループ企業の一員になってしまうケース、同業アパレルに有名ブランドを展開する事業部だけを切り離して売却するケース、あるいは創業数年にして特徴あるブランド展開を成功させながら、壁を越えられず投げ出してしまう企業など様々だ。
M&Aとは、merger and
Acquisition の略。企業の合併・買収の意味である。元々、米国コングロマリット企業が経営の効率化や製品の高付加価値を目的に、不要部門を売却し、あるいは高い技術を持った企業を買収してきた経営手法である。
日本でも、近年、大企業がリストラクチャリング(事業の再構築)を進める過程で、経営資源の「選択と集中」のために、事業部門や子会社を売却・買収するケースが目立ってきてはいる。しかし、現時点のM&Aの特徴は、1990年以降の市場規模縮小に伴うM&Aではなく、新たな市場創出に対応するためのM&Aであることに注目したい。
85年の「プラザ合意」以来、日本経済全体に吹き荒れた業界再編の嵐がようやく終焉を迎え、新たな枠組み構築の時代に入ったことを意味していると思われる。
百貨店やGMS系列再編騒動も一段落し、ファッション業界も縮小に縮小を重ねた上で、再び売上拡大・業容拡大路線に転換し得る環境が整ってきたのかもしれない。
新しい顧客の創造
“20年戦争”ともいえる長いトンネルを抜け出て、窓外に広がる景色は当然というべきか、以前に見たものとは大いに異なるはずだ。依然、デフレ基調が続き、日銀による金融の量的緩和政策変更はない模様だが、経済界はすでに走り始めているのである。
これからの1〜2年、M&Aやファンド会社による企業買収、ライセンスブランドの契約先変更、老舗ブランドの売却・移譲などが頻発しよう。分けても既存アパレルにとっては、10店舗程度展開のSPAが買物ではないか。卸売業態での存在理由が無くなってきたブランドビジネスにとっては、店・販売員などのショップビジネスのノウハウが手に入る魅力は大きい。
卸業態に貢献した社員の営業感覚では、ショップビジネスとしての小売業の運営には向かないし、教育するといってもそこには限界がある。要は、一企業内で人を育て、新事業のために投資していく時間がないのだ。丸ごと投資済みの事業体を買収した方が賢明との判断である。
新しい顧客を創造していかない限り、会社の発展はあり得ない。良くて“微減”が続く企業・事業体に明日はないのである。まして、顧客は予期せぬ異業態から、あっけなく攫われてしまう脅威に曝されている。奪われる前に、新しい顧客を創造しなければいずれ消滅する運命だ。
明日を創る“お客様”
問屋街の性格からして、あくまで「待ち」の営業であり、業態としてはショップビジネスに他ならない。来街されたお客さんをいかにリピーターにできるかが勝負。「もう一度、あるいは営業を続ける限り何度でもあの店から仕入れたい」と思わせる魅力が問屋街にあるかどうか。
これは、今日まで問屋街が繁盛し続けてきたノウハウそのものではないか。厳しい小売業界にあって営業を続けられるお客さんあってこそ、馬喰町横山町は存在する。それは、先代から受け継がれたノウハウ・努力の積み重ねそのものだ。既存のお客様はなにより大切なのである。
そして、今やらなければならない、大切なことは、明日のための顧客をどう創造するのかということである。果たして、気持ちを込めて新規顧客をお迎えし得ているのだろうか。
【整理・整頓・清掃】の徹底。なにもダンボールが悪いわけではないし、足の踏み場がないことは、時には売れている証でもある。でも、初めてのお客さんはそう思うだろうか。
【新顔に声を掛ける】しかもコマメに。新顔は素人さんばかりではないことに気づいていますか。思わぬお客さんも歩いていますよ。お客さんに気後れさせずに入店させる工夫も大切です。
【お客様の名前を覚える】2回目なのに名前を呼ばれる、うれしいものです。この感覚が理解できないと販売業での成功はありません。
【お客様の相談に乗る】
問屋街の案内、買物相談、ライバル店を探す客も異業種店でも気軽に相談に乗り、その店に案内する。すべてにマメであることが、街のファンを増やすことにつながる。
【当社の“売り”を明確に】
新顔は、曖昧な問い合わせしかできない。話してもらえれば感激、印象は一生残るものです。
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東京問屋連盟:問屋連盟通信:2005/12/1掲載 |
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