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宿屋四郎兵衛
「ずばり!単刀直言」
(2007.6.20〜2009.5.20)
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No. 26 |
理不尽消費経済の進行にどう対応する?問屋街
誰が、いつ、世の中を変えているのか
テレビ屋さんのご関係者が居られたらごめんなさい。
「アナログ放送をご覧の皆様へ。2011年7月24日を過ぎると・・・。地デジの準備はお早めに」(各種メディアの広告から)。このCM、変なコメディアンが頻繁に語り、流す。何だか分からないままにせかされているようで、些か気持ちが落ち着かない。こんな広告が入ると直ぐ手元でチャンネルを変えてしまうのだが、いやな思いでご覧になる方も多かろう。
何のことか詳細に確認してみると11年には地上波放送が完全デジタル化になり、同時に現在のアナログ放送は廃止されるという(いつの国会で、どんな法律で決まったのかは未確認)。
そして、このデジタル放送とやら、デジタル対応の受像機に買い替えるか、チューナーを購入しないと、現存するテレビ機能に支障のない受像機では見られないという理不尽さだ。
自民党の選挙対策の一環か、一部の生活保護世帯には無料でチューナーを配布するらしいが、推定では数百万人がテレビから解放?されて観ることが不可能になるらしい。こんなこと、いつ、誰の内閣で決めたのか。
景気対策の切り札
電波の有効利用ということもあって、デジタル化の効用は測り知れないことは、社会人として理解できないことはない。が、現在の受像機で、「篤姫さん」の顔がゆがんでいるわけでなし、チラチラするわけでなし、何もアナログ放送、期限を切って一斉に放映廃止しなければならない理由もなかろう。
残念ながら、北京オリンピックの効用も事前の大騒ぎの割に電気屋さんにとっては、売上効果はなかったらしい(ただし、北京オリンピックの放映権料は、アメリカ、日本、ヨーロッパの合計で15億ドルを突破、96年のアトランタ大会の倍になったという)。儲けるところは儲けているのだ。
それだけにデジタル化は、内需景気を煽るための有力な一手と計算しているのか。多くの国民にとって「理不尽な決定がいつの間にか選挙なしに行われた」ことは間違いない。
小泉政策の行き詰まり
今なお国民に圧倒的支持を有する小泉純一郎氏が政界から引退する。
「政治家は引き際が大事」とは言い古された論理で、「人生いろいろ」の小泉節にはそぐわない。まして後任を子息に譲るというに至っては「冗談か」と多くの有権者も感じたことであろう。
郵政民生化や道路公団民有化と道路族の闊歩、百年安心年金の不始末、小泉チルドレンの処遇など、もはや小泉マジックをもってしてもどうにもならない局面を迎えたことを、さすがに直観されたはずだ。
しかし、思えば小泉時代は「自民党をぶっ壊す」との掛け声とともに自民党だけでなく、今までの日本人が抱いてきた戦後政治・経済・文化等の安逸感を打破し、日本流国民生活をも併せて「ぶっ壊し」一気にアメリカ型金融資本主義国への道を開いた重大な時代であったのだ。
安倍・福田と相次いだ政権放棄の原因は、本人たちの無責任さもさることながら、“小泉政治の遺産”に多くの原因があったのではないか。
今後も歴史から学ぶことは、国民に理由のない「人気」を期待させる政治家には気をつけねばならないということだ。
アメリカ経済の理不尽
こんな馬鹿げた理不尽が全世界を覆い尽くしている。
G7だかG8だか、あるいは先進国財務・金融担当相会議だか錚々たるメンバーが一堂に会し、麗々しく全世界のために、あるいは自国民のために「良かれ」と思う重大な決定をしてくれているのかと考えていたが、どうもご夫人同伴の単なる懇親パーティーに過ぎないことを露呈してしまった。
人類が果たしてきた仕事は第1次産業、第2次産業、あるいは第3次産業と発展を続け、国民生活を大いに豊かにしてくれた。すばらしい進歩であったことは疑う余地もない。第4次産業たる情報産業も、その進化で世の中を一変させてしまった。
だが、今回の金融危機とは一体何なのだ。アメリカがやったことは全世界を混乱させ、また金融ビジネスという実態のない、まさに“虚業”そのもの、“紙屑”に価値を持たせ全世界を騙し続けた結果の破綻そのものだ。
無尽蔵に先進首脳国は自国の税金を破綻目前の金融機関に注ぎこみ、アメリカと共に“自爆”の道を選択するのか。
世界の背後には各国政府をあざ笑うかのような強力な金融団が存在しているという。こんな“ヌエ”を育て上げたのは誰だ。
日本の銀行・証券会社にはこんなマネーゲームに参加しないことを念じたい。
小売企業受難の時代
今年は、日本人の「ノーベル賞」受賞が相次ぎ、メディアは沸き立っている。国民の反応はともかく、受賞される方々の喜び方も様々である。ご高齢の方が多いせいか、話し方から、日本人なのかどうか判然としない先生方もおられる。かなり以前に、優秀な人材の海外流出が問題になった時期もあったのだ。「あんな昔のことで受賞?」と驚かれている学者もおられる。ノーベル賞受賞には、長い年月の積み重ねが必要なのだ。
埼玉の越谷に売り場面積日本一のSCが忽然と姿を現した。
小売業の店舗開発も想像を絶する時間が必要だ。また、諸々の法律上の規制を受ける宿命にある。そのためかどうか、たとえばそごう百貨店しかり、長崎屋しかり、マイカルの新型SCしかり、皮肉にも経営危機に直面する寸前に巨大規模の店舗がオープンを迎える。
一時無敵と言われたイオンにも店舗リストラを迫られる「待ったなし」の事態が迫っている。「利益率が高い衣料品の売り上げが大きく落ち込んだのが主因」と報じられている。08〜09年の閉鎖店舗数は60店舗規模と言われる。
百貨店、外食などのあらゆる小売企業の店舗閉鎖が続くと予想される。
消費の冷え込みは続く
麻生政権が経済危機を強調する以上、輸出企業・大企業優先の政策をとる。日本の産業構造から考えて親企業の回復が、中堅・中小・零細企業に再生のチャンスをもたらすからだ。雇用環境改善は公約に止まるだろう。
世界同時金融危機が、何をもたらすか全く不透明だ。問屋街といえども、何が起こっても不思議ではないことだけは心しておきたい。従来のように各社の自助努力だけに任さず、問屋街のグループ化を活用し、問屋街グループ全体としての生き残り策を早急に考え、建前ではない、実行ある行動をする時が来ている。 |
東京問屋連盟:問屋連盟通信:2008/10/20掲載 |
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